2013年02月22日

MAKOTOLAWジャカルタ出張所 便りNo.5「対インドネシア投資の魅力的な点・注意すべき点」


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※「MAKOTOLAWジャカルタ出張所便り」とは、MAKOTOLAWの一員である池田彩(弁護士。但し、海外留学中のため、現在は登録を一時抹消中)が、月に1回ジャカルタのレポートをお届けする連載です。
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こんにちは。池田@ジャカルタです。

先月、インドネシア政府より、2012年のインドネシア国内投資実績に関する統計資料が発表されました。

これによると、2012年のインドネシア国内への民間直接投資実績総額(金融、石油・ガスを除く)は前年比25%増の348億ドル、うち外国資本による対インドネシア民間直接投資実績額は前年比26%増の 246億ドルでした。

そして、上記投資実績額のうち日本からインドネシアへの民間直接投資実績額は前年比62%増の25億ドル(2011年15.2億ドル(※なお、2010年は7.1億ドル、2009年は6.8億ドル、2008年は13.7億ドル))で、シンガポール(2012年49億ドル)に次ぐ2位、ただし、投資件数としては、前年の468件から13%減の405件でした。

帝国データバンクの調査によれば、現在インドネシアに進出している日系企業は、1266社(2012年3月23日時点)で、業種別では、製造業が692社で半数以上を占めトップ、次いで卸売業(275社)、サービス業(87社)、運輸・通信業(63社)等々の順となっています。

なお、業種細分類別では、自動車部品製造業(35社)と自動車操縦装置製造業(35社)が各々2.8%で同率トップ、それらに自動車内燃機関製造業(17社)等を合わせた自動車関連業種が120社を超え、全体の約1割を占めています。

また、上記日系企業のうち年売上高が判明した1222社の年商規模の分布割合は、10億円以上100億円未満の企業が382社でトップ、次いで100億円以上1000億円未満(345社)、1000億円以上(275社)、10億円未満(220社)の順でした。
これらのうち、年商10億円未満の企業の28%が直近決算で赤字となっている一方、その他の規模群においては赤字企業は10%前後にとどまるなど、業績には差があることも指摘されています。

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さて、対インドネシア投資の魅力的な点としては、一般的に、

gr-001.gif 労働力が豊富・割安であること

インドネシアの人口は約2.4億人で世界第4位、東南アジアでは最大であり、中でも若年層に厚みがあって、労働力が豊富です。
ただし、中間管理職以上の役割を果たすに足る高度人材は少ないという指摘もあります。

また、労働力が割安であることについては、例えば、首都ジャカルタの今年の公定最低賃金(月額)が220万ルピア(本日現在約2万1000円)であることがよい例となるでしょう。
ただし、これについても、昨年のジャカルタの公的最低賃金(月額)は153万ルピアであって、1年で44%も増加しており(地方の中核都市や工業団地が多い都市においても同様に、公定最低賃金の短期間での大幅な上昇が見られます。)、今後も少なからぬ賃金の上昇を予想する声が多く聞かれる点には留意する必要があるでしょう。(※なお、ジャカルタの公的最低賃金(月額)は2011年129万ルピア、2010年112万ルピアでした。)

gr-002.gif 国内マーケットが巨大・将来性が見込まれること

上記@でも述べたとおり、インドネシアは世界第4位の人口を抱える人口大国です。
一人あたりGDPは2012年時点で3,660ドルと未だ低いものの、今後の成長が予想されており、インドネシアの国内需要がさらなる巨大マーケットとなることが期待されています。

また、日本のブランド・日本製品に対する信頼が高いことも日本企業から見たインドネシア国内マーケットの魅力として挙げられることが多く、私自身も日々実感させられているところです。

gr-003.gif 政治的・社会的安定性が向上していること

2004年10月から大統領を務める現ユドヨノ政権下において、インドネシアの政治面・社会面での安定性が向上しているという指摘があります。
JETROによるインドネシア既進出日系企業に対するアンケート調査では、インドネシアの「不安定な政治・社会情勢」が投資環境上の問題になっていると回答した企業が、2004年には67%もあったのに対して、2011年には5%へと劇的に減少しています。

ただし、この点については、ユドヨノ政権の任期が2014年10月までであって、次期政権の方向性・手腕が不透明であることから、上記安定性の後退を危惧する声も聞かれます。

gr-004.gif 親日国家であること、

gr-005.gif 石油、ガス、石炭等の資源国であること 

等が挙げられます。


他方、インドネシアでは、投資法及び下位法令において、外国資本が投資することが許されない業種(例えば一定の営業床面積未満のスーパーやミニマーケットなど)、外国資本も投資可能であるが外資出資比率の上限が定められている業種(リース業(外資上限85%)、製薬業(同75%)など)、外国資本は特別な許可が必要となる業種(幼児教育業、初等・中等教育業、高等教育業など)等、いわゆる「ネガティブリスト」が定められています。

そこで、日本企業がインドネシアに進出する際には、予定している事業が上記ネガティブリストの定める業種に該当しないかを確認する必要がありますが、いかなる事業がネガティブリストが定める業種に該当するかがネガティブリストの記載からだけでは必ずしも明確でないことも多く、正確な判断のためには、現地法律事務所等の協力を得、監督官庁の確認を得る必要があります。

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また、対インドネシア投資の注意すべき点として、一般に、

gr-001.gif 行政手続が非効率・不透明であること

行政手続の進行が場当たり的である、行政手続に要する時間が長い、職員のモラルが低い、不当な手数料の要求を受けるなど。

gr-002.gif 司法に対する信頼性が低いこと

前回ご紹介したとおり制定法規が不十分であることに加え、裁判手続の不透明性や判断の予測可能性の低さが投資環境上の問題となっていると指摘されます。

gr-003.gif インフラの整備が不十分・遅れていること

深刻な交通渋滞、送電網の不足などによる電力供給不足や頻繁に起こる停電、治水インフラの不整備などが挙げられます。以前にご紹介した首都ジャカルタの慢性的な交通渋滞など、日々痛感させられるところでもあります。

gr-004.gif 工場用地が不足・地価が高騰していること

工業団地の地価は、ここ2年で約2-3倍になっていると言われています。
等が挙げられます。

以上、対インドネシア投資の魅力的な点・注意すべき点として一般的に挙げられるところを述べましたが、具体的な案件については、個々の事案に応じた専門家への相談、事前の十分な検討が必要となるでしょう。

夕日.jpg
(photo by pakutaso)

それでは、今回はこの辺りで。

posted by MAKOTOLAW at 13:15| Comment(0) | TrackBack(0) | ジャカルタ出張所
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